コラム

オランダ建築旅行

更新日:2017年10月11日

2017年10月11日更新

2016年の6月にオランダの建築を見るために1週間ほど出かけました。
写真はアムステルダム上空からの様子です。海沿いに風車が見えます。

KLMオランダ航空の座席のビデオにはリートフェルトの椅子が出て来たり、建築が出て来たり、と飽きませんでした。
さて、オランダで見る建築をリサーチするにあたり、アマゾンで検索したところ、下記の本がみつかりました。

建築巡礼シリーズ41 監修香山氏で著者は山縣洋氏 丸善株式会社から出ている本です。著者の山縣洋氏は竹中工務店の設計部出身の建築家で、現在は独立しておられます。私が学生時代に建築模型屋をやっていた時に、前記設計部でスタディ模型を山縣氏の下で作った事があり、また数年前には雑誌編集者さんを交えて呑み会をしたこともあります。山縣氏は竹中設計部からオランダのレム・コールハース氏の事務所OMAへ行かれて、「ヴォルドーの住宅」を担当した建築家です。
さて、この本を読んだところ、オランダには派手なOMAやMVRDV以外にも沢山の近代建築が有ることをしりました。

7日間のオランダ旅行は地図のアムステルダム・ロッテルダム・ユトレヒト・ヒルフェルスム・エーデを廻ります。時間の都合で、残念ながら政治の都ハーグには行けませんでした。

スキポール空港に到着です。
アムステルダムの中心から電車ですぐの場所にあり東京駅~羽田よりもちょっと近い距離感です。
飛行機を降りると、まず荷物検査と全身検査がありました。ベルギーのテロの影響と思いますが、結構入念にしらべます。
上記写真はそのエリアを出て、空港のチェックインエリアの様子です。身体検査後なので感覚としてもう外に居るように感じてしまいましたが、このエリアから下階の入国審査のエリアへエスカレーターで下りて、パスポートチェックのゲートを抜けて駅のエリアへ移動しました。

空港からはアムステルダム中央駅ではなく、市の南側にあるアムステルダムZuid駅を目指しました。
途中で見えて来るのがこの「ING-HOUSE」です。2002年竣工のING銀行の社屋です。
宇宙船のような形ですが、高さ制限かなにかで形が決まってるのかな? と想像してしまいます。
アドレス:Amstelveenseweg 500, 1081 KL Amsterdam,

アムステルダム Zuid駅の写真。
ここからING-HOUSEに向かって10分ほど歩き、そのまま北上してオープンエアスクールを目指しました。

普通にオフィス街と思いきや、歩道の先の緑地の中に「ブタ」が放し飼いになっています!
フェンスも簡単なサッカーのゴールネットみたいな柵です。
かなりびっくり。

住宅地の中にひっそりと「オープンエアースクール」がありました。
ヨハネス・ダイカー設計で1930年竣工です。手前が幼稚園で、ピロティをくぐって入った先は小学校とのこと。この日は時間が遅いせいか、やっていませんでした。
アドレス:Cliostraat 40, 1077 KJ Amsterdam,
http://www.openluchtschool1.nl

「歴史的建造物」の説明が壁にはってあります。
この後も度々目にしますが、近代の歴史的建築物にこのような説明看板があるのをよく見かけます。
日本も導入すると良いですね。

さて、ピロティの先に本丸の校舎が見えますが接近できません。
残念ながら入れなかったので写真は山縣さん著の「オランダ近代建築」からどうぞ。

オープンエアースクールから歩いて25分ほどの次の目的地デ・ダヘラートの集合住宅を目指して歩きます。
途中の色々なアパート(日本風に言うマンション)のエントランスがとてもチャーミングです。
個々のポストをデザインに取り込んだり、長屋式に玄関ドアが沢山あるものなど個性的です。

デ・ダヘラートの集合住宅の外側に到着。
写真は南のアムステル運河の側のファサードで、「この建物でいいのかなあ?」と半信半疑ながら正面へ歩いて進みます。

階段室型のようで、象徴的な開口の中にドアがります。
開いているところがあったので見てみると木造の階段
緑色の階段とは、私なら思いつかないカラースキーム。
レンガと緑色は意外と合う色合いという事を学びます。

デ・ダヘラートの集合住宅の真ん中の通りに入って、中心的な広場に来ました。
1922年竣工  設計 M・デ・クラーク& P・L・クラーク
94年前に竣工したというのに、普通に使われていて、また外観も変な今風のリニューアルはされていません。

窓のディテールがとても綺麗で手が込んでいます。
第一次世界大戦と第二次世界大戦の間に作られた低所得者向けの集合住宅ですが、むしろ高級感も感じさせる雰囲気がありました。

ガラスだけ跳ね上がる窓など、工業製品のような精度で作られててびっくり。
大味な内開き窓のイメージのあるヨーロッパですが、とても繊細です。

さて、こちらは横断歩道の信号のスイッチです。
オランダでは車道と歩道の間に自転車用の道路がはさまっているところが多いですが、こちらは人間用の信号スイッチ。自転車用は自転車の絵がかいてあります。
押すと、機械的な音がジーコジーコと鳴って可愛らしいです。

初日のホテルの最寄り駅のアムステル駅です。アムステルダム中央駅から東へ行った先にあります。2日目の朝はこの駅から。電車で40分ほどのユトレヒトヘ移動です。アムステルダムやロッテルダムは宿代が高いのと、空きが少なかったので、ユトレヒトをベースにアムスとロッテルダムを見て回る計画です。

アムステル駅の構内です。
通勤時間帯ですが、空いています。ガラスとスチールワークがとっても綺麗。

ユトレヒト駅へ到着。駅は出来たてで広いデッキの上にウエーブした屋根がかかっています。
改札は無くて、スイカ式カードを触れる機械が立っているので、そこにタッチして出入りします。

構内にはなぜかグランドピアノがあり、自由にみなさんが弾いています!
朝の通勤時間帯にちょっとした余裕が感じられて素敵な光景です。

こちらがユトレヒト駅の南側外観。
国際見本市場などを建設中で、再開発まっただ中の様子です。
観光地のユトレヒト旧市街はこの駅舎の反対側の北口側です。

旧市街側へ向かう自由通路にはミッフィーが立ってました。
ユトレヒトと言えばディック・ブルーナが描いた日本名うさこちゃん・英名ミッフィー・オランダ名ナインチェ・プラウスです。日本人がミッフィー参りに沢山来るようです。
早速コインロッカーにバックパックを預けてタクシーに乗ってシュレーダー邸へ向かいます。

建築家として見るべき住宅を3つ選ぶとすれば、コルビジェのサヴォア邸、ライトの落水邸、そしてこのリートフェルト設計のシュローダー邸だと私は思います。室内は撮影できませんが、GAの二川さんの写真を参考に。
アドレス:Prins Hendriklaan 50, 3583 EP Utrecht,

シュレーダー邸はネットで見学予約ができます。
http://centraalmuseum.nl/en/visit/locations/rietveld-schroder-house/
記名されたEチケットを印刷して持参する方式で、予約時に日時をして、それに会わせて訪れました。
シュレーダー邸は実は左のアパートに接しています。以前人に聞いたことがありましたが、その左隣の部屋は管理務室になっていて、トイレもあり、お土産も売っています。
ここでEチケットを見せてガイドさんの登場を待ちます。
室内にガイドさんと一緒に十数人の見学者が入り、可動家具なども実演して見せてくれます。
但し、室内は撮影禁止です。

左で撮影しているのは私です。
青いビニール袋はオランダの大手スーパーのアルバート・ハインのもの。
旅の間大変御世話になったスーパーです。

この画角の写真はあまり出回っていないので掲載しました。自動車専用道路のガード横にあります。
右の赤白の高速道路の下をくぐると、すぐにリートフェルト設計のエラスムス通りの連続住宅があります。
シュレーダー邸の見学ツアーの中にはこの建物も含まれていて、音声案内器でここの案内も聞くことができます。(室中には入れません)

こちは高速のガード下の壁。名家具のタイルとはおしゃれ。

エラスラムス通りの連続住宅です。

シュレーダー邸から徒歩で20分ほど行くとユイトレヒト大学のキャンパスがあります。
アドレス:Heidelberglaan 11, 3584 CS Utrecht,

広大な緑地の先に見えて来ました!

ユトレヒト大学ミナエルトビルが見えて来ます。ノイトリング・リーダイク設計1997年竣工
いわゆるミミズビルですね。
ここは通り過ぎてレム・コールハース設計のエデェカトリアムへ向かいます。

エデェカトリアムへ到着です。
アドレス:Leuvenlaan 19, 3584 CE Utrecht,
レム・コールハース設計1997年竣工
日本人建築家(世界中の建築家でしょうか・・)がこぞって影響を受けた床と壁が一枚の板でつながっているアイデアのほぼ「原型」でしょう。コールハースが登場しなければ室内の床の大半をスロープにするような現在の建築の流行はなかったかもしれません。
アドレス:Leuvenlaan 19, 3584 CE Utrecht,

こちらは反対側の立面です。
竣工時に雑誌で見たときに、一枚のコンクリートスラヴを曲げたような屋根と床の繫がり、と認識していたのですが、実物を見て気がつきました。
先端の屋根と床がRにつながっているところは実はコンクリート打放シでは無くて鉄骨造なのですね。
構造体と空間構成が一体ですごい、と勝手な思い込みをしていましたが、以外と現実的に適材適所で作っているという事を知りました。

エントランスです。
歩道から徐々に上がって入って行き、さらに右の方はスロープ状に上がって行きます。

こちらは室内。
右に登って行くとホールがあり、左に下がって行くと学生食堂があります。

上階のホールに上がるスロープの途中から見たところ。
スチールの手摺は縦桟のデザインで天端にアクリルの筒型の照明が乗っています。
奧の赤の塗装がされた床は水平で、柱が斜めに立っているようです。

こちらは前写真の赤の塗装がされてる床から見た様子です。
上階へあがる斜めのスラヴは建物の内外に貫通していて、窓外にはブルーやグリーンに光る行灯式のベンチがあります。

外から見えた象徴的な屋根と床がRにつながっているところです。
床はRC造で、木目の仕上げの床がせり上がって天井につながる部分は鉄骨造です。

左に目をやると、木目仕上げの球体が浮いています。
球の左側はホールになっていてますので、球体の中は映写機などを入れるスペースかと想像しています。

道路側に見えた階段です。
スロープで上がるルートと階段でつながるルートなど複雑で立体的で面白いです。

さて、他の建築も見て廻りました。

こちらはMarlies Rohmer設計の学生寮で380人の寮との事。2009年竣工です。

エアコン室外機も緑に塗ってありますが、主な部屋は個別冷暖房ではなさそうなのに。3個だけ室外機があるのが少々不思議です。

Wiel Arets(ヴイール・アレッツ)設計の図書館です。
アドレス:Heidelberglaan 3, 3584 CS Utrecht

ガラスプリントのファサードはやりましたね。
個人的にはアレッツのマーストリヒト美術建築アカデミーを見たかったのですが、マーストリヒトは少々遠いのであきらめました。

こちらは設計者がわかりませんが学生寮のようです。
両側のコアにボリュームが架けてあります。

これも集合住宅の模様。

ユトレヒト大学のキャンパスからバスに乗って旧市街に戻りました。
ユトレヒトの代表的な街並みです。普通の観光客はこのあたりをぶらぶらするのが普通かと思います。
意外と水位が低いように見えますが、水門で閉めて水をくみ出し水位を調整して保っている訳です。
自然災害は日本よりは圧倒的に少ないと想像しますが、国土を水没させないために常に水をくみ出し、堤防を維持管理するオランダ人の持久力には敬服します。

建物はお互いに寄り添って建って斜めに傾いたビルはザラです。日本なら立ち入り禁止級と思われます。
おそらく松の木杭の上に建っているのかもしれません。

古い街並みに日本のバイクや車は意外と似合います。

こちらはユトレヒト名物のミッフィーの信号。
偶然見付けました。

ユトレヒトには4泊しました。この写真は2泊目から4泊目までした部屋です。
B&B(ベッド&ブレックファースト)の宿で、ユトレヒト旧市街の木造4階建ての4階ペントハウス部分です。
この部屋を拠点にアムステルダム、ロッテルダム、ユトレヒトを見て回りました。
バスタブはありませんが、専用のキッチン、トイレ、シャワーブースが備わり、朝食は毎朝指定時刻にルームサービスしてくれました。

建物の裏手は中庭があり、教会が見えます。

朝食の写真です。
ちなみに床はだいぶ傾いて、コップの水面も傾いています。

この日はユトレヒトから近いハウデンの駅(地図右赤)へ向かいます。

ユトレヒト駅からサンダーバード調の色のインターシティーに乗ってハウデン(Houten)駅へ向かいます。
ハウデンの駅のバス亭から47番のバスに乗って10分ほど行ったロント通りの池の向こうにアルミニウム・フォレストが見えて来ます。

手入れされた芝生と池の際に立っていました。
設計はミカ・デ・ハース氏 2001年竣工
作品名はAluminium Forestです。

アドレス:Voorveste 2, 3992 DC Houten,

全然違いますが、師匠の早川邦彦氏の「フォレスト」という軽井沢の作品を名前繫がりで思い出しながら見ました。(早川氏の作品は1987年竣工)
こちらはアルミニウムを使った実験的な建築を作るコンペで誕生したそうです。
細長い複数の足の上に不安定そうにボリュームが乗っている形状ですが、この部分だけ見ると1991年のレム・コールハースのダラヴァ邸を思い出さずにはいられません。また、この不安定な感じをミニチュアにしたデザインは90年終わりから2000年初めごろ日本でもちらほら引用されていました。
それは、そうとして、とても綺麗で、美しいです。
この時は朝ですが、夜景で水面に建物が反射した写真をネットでよく拝見しますが、それがすばらしく美しいです。

見学のあとは、駅まで水辺の緑地公園を歩いて帰りました。
カモが居たり、緑豊かで贅沢な住宅街です。

ユトレヒトに戻ると、セントラルミュージアムへ行きました。
写真はミュージアム入り口の道路対岸にある日本人御用達のディック・ブルーナー・ハウスです。
セントラルミュージアムで入場券を売っていたので、一応入りましたが・・・・・・
http://nijntjemuseum.nl

エントランスにはオランダ語、英語、日本語 のご案内。
日本人が相当来るようです。
ディック・ブルーナー・ハウスの方は幼児用の楽しい施設、といった感じで、室内は全域遊具。
大人だけで入場するのは恥ずかしい感じでした。
ちなみに、ミッフィー=ナインンチェプラウス=うさこちゃん の明解な色彩と輪郭はオランダの抽象美術運動「デ・ステイル」の影響を受けているということをこの旅で知りました。子供の頃から知っているミッフィと、建築に興味を持った頃からファンだったシュレーダー邸の色彩がつながることをいまさらながら再認識です。

セントラルミュージアムへ入りましたが、内部は撮影禁止です。
カフェでミントティーを飲んで一休み。
ディック・ブルーナーの書斎空間が再現してあるフロアもあり、現代美術の展示も楽しめました。
アドレス:Netherlands, Agnietenstraat 1, 3512 XA Utrecht
http://www.centraalmuseum.nl

前記事と前後しますが、ユトレヒトから電車で25分ほどのエーデへ移動して、そこからバスに乗ってリートフェルト設計のパビリオンを見るためクレラー・ミュラー美術館へ向かいます。
エーデ駅(Ede)です。

南側のバス乗り場から108のバスでオッテルロー交差点(Otterlo Rotonde)まで行き、106番のDe Hoge Voluwe国立公園を通るバスに乗り換えます。10分ほどで、クレラー・ミュラー美術館のあるDe Hoge Voluwe国立公園の入り口で下車。
入り口で自転車を借りて十何分か進むと美術館があります。

クレラー・ミュラー美術館は、旧館の完成は1938年。
新館の建物設計はオランダの代表的な建築家のヴィムG.クイスト氏で1977年竣工。
新館は非常に「ミース」的な建築ですが、1938年当時にクレーラー・ミュラー婦人はミースに設計依頼をしたことがあったそうですが気に入らず、結局、旧館はヴァン・デ・ヴェルデに依頼したそうです。
庭園に美術作品が点在していますが、そこに目的の「リートフェルト・パビリオン」があります。

ベンチもデザインされています。
さすが。

これは美術の教科書で見たあの絵では!

クレーラー・ミュラー美術館の庭園へ森の中を進むと目的のリートフェルトが設計したパビリオンが見えて来ます。1955年にソンスビーク公園に作った物を1965年にクレーラー・ミュラー美術館に移築したものだそうです。
ミースのパビリオンは有名ですが、リートフェルトのパビリオンは案外知らない人も多いのではないでしょうか。

感激して沢山写真を撮りました。

軒裏を見上げると木製の梁が架けられていて、軒裏面は網代(アジロ)のような天井になっています。
また、黒の枠にガラスが入っていますが、黒枠も木製です。

オランダの気候は結構湿気ているように見えますが、木で作られていて、さらに雨かかりが多いディテールには驚かされました。

パビリオンの隣にあるテントのレストランでお茶ができました。

さて、宿泊しているユトレヒトからインターシティで30分ほど。東京と横浜ぐらいの距離感覚の先にあるのがアムステルダムです。
この日はオランダ入りしてから始めてアムステルダム中央駅に来ました。ホームは2階にあり、アーチ型の屋根の下に線路が並びます。

ホームの下に通路があるのは東京駅などと同じ様子。
アーチ屋根の支柱がGLから生えています。

こちらは改札外のホールです。
私鉄とNS(JR的鉄道)が乗り入れているようで、私鉄の改札内に広いロッカーコーナーがあり、そこに荷物を預けて町を見て回れます。

アムステルダムセントラル駅の南側正面です。北側は海なので北口は小さいようです。「東京駅設計時にモデルとして参考にした」と言われるだけあって、印象が似ています。駅前がトラムとバスのターミナルになっていまして、ここからアムスのあちこちへ行く事ができます。中央駅前なのに自転車置き場がずらっとある所はお国柄です。

アムステルダム駅から22番のバスに乗ってエイヘンハールト集合住宅に行きました。中央駅から距離は1.5キロなので歩いてもこれます。建築史の授業か、一級建築士の試験に出てくる歴史上の建築です。
設計は、ミケル・デ・クラーク 1919年竣工 エイヘンハールト=わが家 の意味だそうです。(出展は丸善から出版の山縣洋氏著のオランダの近代建築)アムステルダム派の記念碑的作品との事。行きのKLMの飛行機のオランダ紹介ビデオにも外観が出て来ましたので一押しの建築なのだと想像します。
二等辺三角形の配置で、先端から見た写真の位置です。
短い底辺にあたる部分が正面的ファサードのある側です。

アドレス:Oostzaanstraat 45, 1013 WG Amsterdam

こちらが正面ファサードですが、廻りには自転車が沢山駐輪してあります。
住宅街のようで、人通りはあまりありません。
この時は改修中で、1階には仮囲いがしてありました。
装飾的なディテールであふれていて、本で見たときはあまり気を引かれなかったのですが、現物はなかなか素敵です。

有名なカプセル型の部分。
白の窓は木製サッシュのようです。メンテナンスはしてるのでしょうが97年前の木製窓が健在なのかと思うとすごいです。

外壁の補修中でした。

下方向もガラスが入った出窓です。
その下のレンガ壁面に穴の空いた約物が埋まっています。通気でしょうか。

コーナーの木窓のデザインがいいです。
過剰なほどのディテールが盛り込まれていますが、実際の建物はくどさがありませんでした。
素朴な可愛らしさを感じるデザインで、表層の数十センチの凹凸でも建物に十分な陰影と表情を作り出していました。

窓のデザインの重要性を改めて感じます。

さて、アムステルダム中央駅からトラムの17番で39分先のアムステルダムHOEKENES駅で降りて、運河に沿って徒歩5分ほど北上するとMVRDV設計の高齢者用集合住宅オクラホマがあります。竣工は1997年、早いものでもう19年前です。運河と敷地のボーダーレスな感じがとても和やかな感じです。

外観です。
ピロティ部分にエントランスホールがありましたので接近を試みます。
場所はオクメール通りとライメルスワール通りの交差点付近です。

赤い集合玄関ポストが綺麗ですが、ポスト口はかなり小さめ

オクラホマ全景です。
広い道路に面した側ですが、強烈なキャンチレバーが5つ突き出ています。
日本でもクルマのテレビCMで背景に使われていたように思うので、見たことのある人も多いでしょう。

軒裏は木貼りです。突き出し部分の外壁と軒裏は自然木のようです。
古びても「本物」は良いですね。

オクラホマ集合住宅の前の歩道のちょい先の様子。でかい鳥が普通に歩いてまして、住民も特に気にしない模様でびっくりです。
オランダは鳥やブタや牛などが都市部のちょっとした緑地や歩道にも出没していて、運河や緑地が都市の中に点在(というよりも緑地と運河の中に都市が点在)しているので、動物との距離が近く、おおらかな時間が流れているように感じました。

さて、アムステルダムの中心部へもどり、シネアックを目指します。
通りの先に赤い看板が見えるのがシネアックです。

ヨハネス・ダイカー設計のシネアック 1934年完成
ニュース専門の映画館で、鉄骨造との事です。
既に見て来たオープンエアスクールや、これから見に行くゾンネストラールやホーイラントホテルの設計者です。
グーグルマップに表示されませんので、対面して建つトゥスヒンスキー劇場を目指して行くと良いでしょう。

こちらトゥスヒンスキー劇場です。こちらも映画館で、歴史的建物で観光マップなどにも出ています。1921年竣工
設計者はH.L.de Jong
アドレス:Reguliersbreestraat 26-34, 1017 CN Amsterdam,

アムスの街並み。
ユトレヒトと同じく傾いていて、ちょっと可愛らしいです。

シネアックから歩いて旧証券取引所へ移動しました。
オランダ近代建築の父とされるヘンドリック・ペトルス・ベルラー設計で1903年完成
https://beursvanberlage.com

現在は美術館とコンサートホールとして運用されていて、ここがエントランスでチケット売り場です。
この場の撮影はOKとの事で、奧のガラス越しに音楽ホールとして使われている空間が見えます。

こちらがそれです。何かの設営中です。
写真では屋根がガラスですが、以前見たエクスナレッジのガイド本では屋根が不透明でしたので改装したのかもしれません。

アムステルダム中央駅に徒歩で戻って今度はKNSM島をめざしました。
65番のバスに乗って、一気にKNSM島の先端の終点まで行き、歩きながら各建築を見て廻ります。
まずはバス亭終点前のヨー・クーネン設計の円形の集合住宅から見学しました。
アドレス:Venetiëhof 21, 1019 NA Amsterdam

円の中は中庭になっていて、こちら側に共用廊下が取られていて、円の外周面に各戸が窓を開いています。
このKNSM島は元は船会社のKNSMが持っていた島で、マスタープランをヨー・クーネンが設計して、自らこの集合住宅も設計したとのこと。
竣工は1995年

ブルーグレーの壁と階段デザイン。90年代に建築で流行った色ですね。
失敗しない色です。

ひとつ手前にあるのが、このブリュノ・アベール棟です。ベルギー建築界を代表するブリュノ・アベールにより1993年竣工

KNSM島で一際高くそびえるのがウォール・アレッツ棟です。
90年代にエルクロッキーでよく拝見していた建物で、ボリュームの分節の仕方を当時参考にしました。

足元の壁の薄いこと・・・地震が無いと、本当スレンダーに出来ます。

集合玄関ポストの処理もクールです。

外壁は自然石風のコンクリートの模造で、石風に着色されているようです。
1996年竣工ですから、もう20年経ったにしては綺麗に色が残っていると思いました。
本石でピンコロ石を貼ろうとしたら、脱落防止を色々と考える必要もあります。
フェイクの石仕上げはなかなか成功してるのかもしれません。

ウォール・アレッツ棟の対面にあるのがハンス・コールホフ棟です。1994年竣工
左下の明るい茶色部分がエントランスのドアで上層のガラスカーテンウオールの所は各戸のサンルームになっているようです。

エントランスのドアは巨大な内開きの一枚もの。左右に各戸のポストが並んでいます。
この方式はオランダで一番一般的なポストレイアウトのようです。
日本のマンションの場合は室内にポストを設置するのが一般的ですが、ザーザー雨が日本よりも少ないという事が影響しているのかもしれません。
とは言え、この日は小雨でポストのクチからはみ出した郵便は濡れているようです・・・・

サンルーム部分は各戸の思い思いの使い方がされているようです。

こちらは中庭と外部をつなぐピロティーの列柱。
六角ナットを思わせるデザインです。

何か電線が入っていますので、夜は光るのかも知れません。

さて、KNSM島から内陸側の対岸を見ると、右にアイタワー、左にザ・ホエールが見えます

橋を渡って内陸側にもどると手前に見えるのがアイタワーです。
アドレス:Oostelijke Handelskade 1065, 1019 BW Amsterdam,
ノイトリング・リーダイク設計 1998年竣工

高層部が住宅で、低層部はショッピングモールです。
外観の一部が欠けているデザインのほぼ元祖では、と思います。
最近の日本の高層オフィスビルはこれにだいぶ影響を受けたと思います。
ただ、日本の場合は共同住宅では非難バルコニーが必要なので、このようなデザインはオフィスビルでないとなかなかできません。

こちらはザ・ホエール
設計はデ・アーキテクテン・シー
歩道から浮き上がっている部分下ピロティがエントランスです。

ピロティに入ると中庭が見えます。フェンスのデザインが凝ってます。

パーキングの入り口がカッコイイ!
地上に出ている機械パーキングを見慣れた日本人から見ると、キチンと作られていてとても素敵です。
まあ、地下を掘るよりは地上式の機械パーキングの方が安いので仕方ないのですが、、景観はぶち壊しです。
景観を守るための必要経費をどう見るか、は国民性でしょうか。

軒天井は金属質のパネルが貼られています。
中には配管類が見えます。

窓のディテール
涼しい気候と想像しますので、エアコン室外機置き場、なんていらないのでしょうか。
綺麗です。

さらに内陸側から歩行者用の赤い橋を引っかけた写真です。
この橋もデザイナーによるものです。

アムステルダムの最後は中央郵便局です。
現在はマナプラザというデパートになっていて、1899年竣工で1991年にリノベーションされたとの事。

アトリウムがすばらしい。
GLから半層上り、と半層下がると地下、1階のみスキップフロアの構成も良いです。
水が出るのでしょうから全地下は難しかったのでしょう。

町中の橋には南京錠が。
恋人達が付けて行くのは何処の国も同じですね。

つづく・・・

株式会社石川淳建築設計事務所 東京都中野区江原町2-31-13第1喜光マンション TEL 03-3950-0351