作品

住み手の感想

M-n1/2の完成まで

  • 敷地面積:
  • 延床面積:

家を建てようと思い、探し始めたのは約2年半ほど前になります。 その頃は、逗子に住み2年ほど経ち、海に近い事とのんびりした雰囲気が気に入りこの土地にずっと住みたいと思い始めていた頃でした。 まずは行動ということで、イメージも固まらないままとにかく不動産屋さんに行ってみました。数を見てるうちにイメージも固まるのではという期待を秘めて。それと同時に住宅関係の雑誌などを見るようになり建築に興味が湧いてきました。サラリーマンなので自ずと予算は決まってきますが、土地を買って家を建てても何とかなるような気がしてきました。せっかく大金をはたいて家を建てるなら楽しんでやろうという気になってきたのです。

■土地との出会い

夏の終わり頃、不動産屋さんから連絡がありました。売主さんが大きな敷地の一部を売りたいとのことでした。初めて案内された時は鬱蒼とした森に感動し、一発で気に入りました。駅から近い住宅街でよくこれだけの緑が残ってるなといまだに思います。 共有地、専用通路など少々マイナス要素もあるのかもしれませんが、環境はバツグンで立地もこれ以上無いような良い所でした。

■石川さんとの出会い

せっかくいい土地が見つかったので、この土地を活かせるような家にしたいと思いました。  実はこの土地が見つかる前に、契約寸前まで話が進んでいた所がありました。その時には工務店と直接話をして大まかなイメージを伝え、それで建ててもらえることになっていました。  結局そこは土壇場で他の建売業者に持っていかれましたが、その時の経験が今回に活かされて逆に良かったように思います。なので、今回は2回目の気分です。  そのような経験もあり、今回も工務店にある程度の希望を言えば建ててもらえる事は分かっていたのですが、はたしてこの土地を活かしきる事ができるのかと疑問でした。  そこで、思い切って建築家に設計・監理してもらおうと思いました。と、言っても知り合いに建築家などいなかったので、建築関係の雑誌を見ていて気に入った家を見つけて連絡してみる事にしました。  ある雑誌に載っていたシンプルな外観が気に入り、石川さんに連絡を取ったところ、すぐに返事が返ってきました。それが石川さんとのはじめての出会いでした。  そこから何度か家に来て頂き、私達の生活や考え方、好みなどの話をしました。もちろん予算の話も。予算はかなり厳しいものでしたが、「限られた予算の中で工夫する方がいい家ができる」と言っていただけたのでその点も安心できました。  家造りにあたって、私達が考えていた要望は、  「スーパーな普通」「洗練された普通」 というものでした。  開放的過ぎず、奇をてらわない、建築家にとっては難しい要望だったと思います。  それからしばらくして第一案ができあがりました。それは私達が想像していた以上に素晴らしいもので、見てすぐに気に入りました。  土地の契約関係で色々とあり、石川さんとはじめてお会いした時から本格的にスタートするまでに1年以上かかりましたが、粘り強く待っていただきました。    工務店は、石川さんの紹介でした。一度一緒に家を建てたことがあるということで、石川さんも信頼されているところでした。あとは予算内に収まるか、価格交渉でも石川さんに間に入ってもらいましたが、ほんとに無理ばっかりで今となっては申し訳ない気持ちです。  こだわるところ、妥協できるところ、この兼ね合いはほんとに難しい問題です。  家を建てて(”買う”じゃなくて)良かったのは1から10まで、それこそ構造材からドアノブまで希望を伝え、自分で決める事ができることでしょうか。贅沢を言えばきりが無いのですが、限られた予算の中で最高の物ができあがったと思っています。

■住み心地

住んでみて約4ヶ月になりますが、気に入っている所は、まず、外と中のつながりが自然で心地いい事です。1Fの窓から見るデッキや2F窓から見える桜の木など外とのつながりを感じられる所です。夏は桜の木にとまったセミがうるさいくらいですが。 室内では、なんといっても家の中に居て心地いいのです。適度な囲まれ感のせいでしょうか。また、昼と夜では表情が変わるところも魅力です。昼は窓からの明かりで白い壁が映え、造形の輪郭がはっきりと浮かび上がります。黒い柱、白い壁、黒い床などがいい具合にコントラストを効かせています。
ところが、一転夜になると表情ががらっと変わります。 明かりを一つ灯けるとその光がどこからともなく全体に漏れていきます。その表情がなんとも優しいのです。また一つ明かりをつけるとさっきとは違った表情を見せます。 就寝のとき明かりを消そうとしても「あれ、どこが灯いてるんだっけ」といつも探してしまうくらいです。 まだ、春、夏しかこの家で過ごしていませんが、これから秋、冬、2年、5年と過ごしていくうちに新たな発見がありそうでそれが楽しみです。


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「花見の家」をご覧ください。

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