新建築住宅特集の「本誌初登場」
更新日:2014年6月26日
良い住宅建築が出来ると新建築社の「住宅特集」に資料を送ります。
我々建築家にとって、新建築に作品発表するという事は、既存の商業住宅に対する批判を発信する場であり、日本に新しい住宅のあり方を提案する唯一の場(他の建築専門誌は皆廃刊になってしまった)なのだと思います。幸運にして、処女作「Y.ケンネル」で雑誌「住宅特集」に発表できた時の編集後記にある、「本誌初登場」を久しぶりに読み返してみる事がありました。
「石川淳と申します」と挨拶をするといつも3通りの返事が自分に帰ってる.一つ目は先入観なく普通に挨拶を返してくる人.二つ目は同姓同名の漫画家の話題を返して来る人.三つ目は文豪石川淳の名前をくちにする人.自分は不勉強なため,漫画家の作品も文豪の作品も知らないのだが,相手が何に関心を持つ傾向の人なのか,相手が「いしかわじゅん」という名前にどういう先入観を持っているのかをいつも知らされることになる.
建築作品にも同様に,見る人は建物の見た目に先入観をもって見ようとするように思う.「なになに風」というやつである.うっかりすると自分もすぐ「なになに風」になってしまいそうである.そうならぬように,下手でも自分らしい作品をつくれるように精進していきたい.
今の住宅特集にはこんなコーナーはありません。
それは、良かったような気もするし、残念な気もします。
でも「作家」として、退路を断つ良い機会なのにねえ。。。。と思う12年後の石川淳なのでした。