スペイン建築旅行3
更新日:2020年8月18日
2017年9月にスペインのカタルーニャ地方とバスク地方の建築を見に出かけた建築旅行記その3です。 完結しました。
スペイン旅行3泊目の宿はバルセロナを後にして西北にクルマで60キロほど行ったカルドナという村にあるホテルで、古城をホテルに改装した「パラドール デ カルドナ」です。星は4つもついていて、建築的にも見所が沢山あります。
アドレス:Castell de Cardona, s/n, 08261 Cardona, Spain, Barcelona, スペイン
泊まった部屋です。共用部分は古城感がとてもありますが、客室自体は現代風に改修されています。
標高が高いので、窓からの景色は格別です。
レストランのウエイティングバーです。
さて、レストランでディナーをしていると、外から花火の音が聞こえました!飛び出して見ると、城の駐車場でバンバン花火を打ち上げています。たまたま村のお祭りの日に当たったようで、凄い近さの場所で打ち上げていまして、食事の途中で花火見物となりました。
カルドナを出発して、次の宿までの移動の途中でソブラベ地方のアインサの街にたちよりました。アインサは「スペインの最も美しい村協会」に加盟の村でアラ川とシンカ川の合流地点の丘の上にあります。写真は丘を見上げ、村を見た様子。要塞のようにそびえています。
村の案内地図です。大きなパーキングが村の外にあり、そこから歩いて入ります。
村の中心のマイヨール広場です。市役所の建物などがあり、塔が見えるのはサンタマリア地区教会です。
塔は見学可能で、中に入ると真っ暗な中にお爺さんが一人座っていて、入場料をここで払います。左のアーチの開口に入って行くと・・
幅60センチほどの石積みの階段を進みます。
塔の天辺に到着。
村の廻りを見渡せます。
川の合流ポイントにあることから、貿易で栄えた村のようでした。
アインサ村の後はサラゴサの街に立ち寄りました。写真はヌエストラ・セニョーラデル・ビラール聖堂で、イスラム支配の時代もあった事から、キリスト教とイスラム教の文化的融合を表す建築です。
左にヌエストラ・セニョーラデル・ビラール聖堂で、前方に見える塔はサルバドール大聖堂のものです。
こちらは両聖堂の間に建つ市役所の入り口にある像です。建築模型を持っている像って珍しいですね。
クルマでサラゴサを抜けるため走っていると綺麗な橋を渡りました。
そこで橋を見学。サラゴサでは2008年に国際博覧会が行われ、多くの建築が新しく作られています。ちなみに、この橋、カラトラヴァ設計か?と思って立ち寄りましたが帰国後に調べると違いました。設計者は見つけられず。
こちらはその橋の横にかかっている博覧会のために建築されたブリッッジパビリオンで設計はご存知ザハ・ハディド氏です。東京の新国立競技場も、もし彼女が最後まで設計できれば、このような斬新なレガシーになった事でしょう・・・・
こちらも何かのパビリオン建築の模様。クルマで走りながらの写真です。この後、我々一行はフランク・O・ゲーリー設計のワイナリーを目指して移動です。
さて、サラゴサから高速道路を150キロほどひた走り・・・エルシエゴの町にあるフランク・Oゲーリー設計のワイナリーへ向かいます。
高速を下りて田舎道を進むと、見えて来ました!
アドレス: Camino La Tejera, 109, 01340 Elciego, Álava, Araba,
ワイナリーの名前はマルケス・デ・リスカルです。
スペイン王室御用達のワインをつくっているワイナリーです。
駐車場にクルマを駐めて、垣根の間の道を進み、橋を渡ると右側にゲストの受付建物がありました。
エントランス建物の内部の様子です。お土産も売っています。ここで、見学コースの申込みをしますが、コースがよく分からず、ワイナリーの工場と試飲のコースを申し込んでみました。
案内の男性について行きます。
出ました! ゲーリー節炸裂です。
しかし、我々の申し込んだコースはワインの解説のコースだったようで、ブドウ畑で解説を聞いてゲーリーの建築には接近しない模様です。
そのため、団体からちょっと外れて、ゲーリーの棟へ行って詳しく見て来ました。
ゲーリー棟を詳しく見ている団体客もいたようなので、建築に特化したコースもあったのかもしれません。
建物はワイナリーの中に併設されたホテルのエントランスホールとレストランの入った棟で、ワイナリーの広告塔といったところのようです。
ピンク色の金属は日本製だと聞きました。
熱を加えて色を出しているとの事で、塗装ではありません。クルマのマフラーが熱やけしてピンクっぽくなっているのと同じ原理とか。
ワイン工場の建物の向こうに見えるゲーリー棟です。新古が合わさりスゴい景色ですがカラースキームが統一されていて、馴染んでいます。
こちらは工場で出荷前のワインたち。スペイン王室御用達の銘柄とのことです。糸の洋服を着ているのが特徴。
試飲の時間も楽しめました。
ちなみに、このワインはサッポロさんが輸入していて、日本にも入っています。ビックカメラなどでも購入できます。
さて、ゲーリーのワイナリーを後にして、クルマで移動中に、近くにあるはずのイシオス・ワイナリーを発見。
元々見たかったのですが、場所がはっきり解らず、あきらめ気味に進んでいる中で見つけました。
設計者はサンティエゴ・カラトラバです。
建物裏側の様子。
外構には水盤があり、水盤の縁は割ったモザイクタイル貼りで、グエル公園風となっていました。
すごい造形です。書籍によると木造の模様。
この日は残念ながら営業していませんでした。
正面から堂々の退場の我々。さて、ゲーリーとカラトラヴァのワイナリーを見た後はこの日の宿をとったスペイン東北部のサン・セバスティアンへ移動しました。
サン・セバスティアンはスペイン語ですが、バスク語ではドノスティアと言い、1982年からはドノスティア/サン・セバスティアンという名称だそうです。地元バスク人の意地で名前を変えたのでしょう。
町に着いたのは夕方で、まずはホテルに直行です。ラファエル・モネオ氏設計のクルサール国際会議場が見える海に面したホテルをネットで予約して行きました。
客室にはホテルと会議場が写った空撮写真が飾られています。
こちらが客室からも見えるクルサール国際会議場です。エルクロッキーで見ていましたが、本物は格別の美しさでした。
早速サンセバの町へくり出します。
ここは美食の町として有名で、飲み屋街の両側は立ち飲み屋でいっぱい。
ピンチョスという「クシに刺さったおつま」をつまみながらお酒をのみ、短時間で出て色々な店をハシゴして歩くのがサンセバ流との事。
地元のお酒は微発泡のワイン「チャコリ」です。バーテンさんの様に高い位置から注ぐのが流儀です。アルコール度数はあまり高くなく、飲みやすく、とても美味しいです。
そして、バーではお酒とピンチョスの他に名物があります。「バスクチーズケーキ」です。日本でもブームが来たバスクチーズケーキですが、我々が訪れた時は日本でのブーム前でした。甘い物が苦手な私も食べられるおいしさでした。
さて、町中に模型展がありました。
ショーウインドウにはタミヤのマークと・・・ハイジとクララ。
さて、夜が明けてホテルの廻りを散策です。
雨上がりで空には虹が出ています。
クルサール国際会議場の正面。時間が無いので接近はせずです。
朝のクルサール国際会議場。
波消しブロックがキューブ型でお洒落。
さて、サンセバのコンチャ海岸の対岸の端にあるエドゥアルド・チリーダの彫刻「風の櫛」を目指します。エドゥアルド・チリーダは高松宮殿下記念世界文化賞も受賞しているスペイン人の彫刻家です。
コンチャ海岸を見返し。この日は強風でヨットも帆をたたんでいます。
見えてきました。
こんな感じで撮影会状態。
風の櫛を見た後は西にクルマを走らせてゲタリアの待ちへ移動です。
ゲタリアの目抜き通りです。正面はサン・サルバドール教会で、スペイン史跡に指定されています。
教会を抜けた先に広がる景色です。小さな港街で、昔は捕鯨の基地だったとの事、風情があります。Wikipediaによるとゲタリアは城塞都市で、サンセヴァスティアンよりも早く作られた町だそうです。
海水浴もできるようで、おっさんがシャチの浮き輪に乗ったパッケージが飾ってあります。普通なら子供や女子の写真にすると思いますが・・・NGなのか、と思ったら、上には子供の写真のパッケージあり。おっさんにしたかったんですね。。。
裏通りの生活道路には観光客は全く歩いていません。
港を見下ろすレストラン。NHKのスペイン語講座に出ていた店です。ここで予約して名物のヒラメの丸焼きとチャコリで一杯。
ヒラメの全身の形をしたカゴに入れて焼くのがゲタリヤ風。
見た目よりもはるかに美味しいです!
ヒラメを食べた後は一気にフランス領へ移動。この日の宿のあるアイノアの村へ向かいます。
アイノアで宿泊したホテルです。
木造3階で壁は白の石灰で赤い外壁の木骨は赤色。 赤色は昔虫除けのために牛の血で染めたのが由来なのだそうです。
宿泊した部屋です。木造ですが無柱のスパンが長いです。 地震が無いって素晴らしい・・・
パーキングに止まっていたクラッシックカーです。
老夫婦が颯爽と乗って出かけました。おばあさんが手を振ってくれました。
アイノアの村から4キロほど北の村エスプレットです。
集落の伝統的建物の外壁には「エスプレット=唐辛子」が飾り付けられていて、土産物などを売る通りが街の中を抜けています。家々のカラースキームが唐辛子色を基調にしていて、統一感があります。
家々の窓には外開きのブラインドがあります。
日本でこれを真似て「動かない飾りのブラインドモドキ」を付けた家がありますが・・・本場の人には見せられないですね・・・
さて、山道を進み・・・
ウルダクス修道院へたちよりました。
こちらは、その駐車場の端にあった建物・・・・気になります。
鉄骨造です。
家畜の競りでもする場所か? と想像しましたがバスク地方で人気の球技、バスク・ペロタの競技場のようでした。バスク・ペロタはテニスの原型との事で、オリンピック競技でもあるようです。
建築としても魅力的な建物で、つい吸い込まれます。
この旅行最後に巡った町の南仏ビアリッツです。 フランスのサーフィンのメッカというところで、サーファー達が多く行き交っています。
プジョーもこの通り。開放的な雰囲気です。
我々は町中を軽く見て廻り、海岸の東端にあるバスタロック という小さな半島へ移動。そこから見えるのが小さな漁港のまわりに防波堤を巡らした可愛らしい港です。
荒海のなかに静かな港。
ビアリッツを見た翌日は帰国のためバイヨンヌ空港へ。
1階にはレストランもあるのですが、結構な行列なので念のためチェックインして2階へ進むと自販機しかありませんでした。 時間を持てあましました。
それはそうと、建築的には素敵な空港です。調べても設計者がわかりませんでした。ピアノやロジャース風ですが・・・・
ビアリッツからドゴールへ向かいます。
昨日見たビアリッツの海岸を上空から見下ろし。
そしてドゴールから飛び立って見えるパリの夜景です。
これを書いている2020年8月は新型コロナウイルスの影響下です。 海外旅行へは当面行けなくなりました。
行けるときに思い切って行っておいてよかったです。
世界が落ち着いたらまたどこかへ建築を見に行きたいですね。
おわり