コラム

スペイン建築旅行2

更新日:2019年10月1日

2017年9月にスペインのカタルーニャ地方とバスク地方の建築を見に出かけた建築旅行記その2です。

写真はサン・パウ病院から移動のために乗った地下鉄の改札前。訪れた日がちょうど「カタルーニャの日」という事で、カタルーニャの独立を願う市民が思い思いのスタイルで集会の会場へ向うところでした。

地下鉄からトラムのT3に乗り換えてWalden駅を目指します。

途中の車窓からはノーマン.フォスター設計のテレコミュニケーションズ・タワーが見えます。

見えて来ました!

トラムの駅を下りると道路の向こうにそびえ立つのがウオールデン7です30年ほど前、夜学に入って建築模型屋をしていた時に出向先のゼネコンに図書室がありました。そこでGA Architectのリカルド・ボフィール作品集をたまたま見て初めてこの建物を知りました。88年か89年だと思います。

あまりの衝撃的な形に魅了され、このGAを自分でも購入しました。いつか本物を見たいと考えていましたが、30年あまりを経てやっと訪問です。

見学は旅に出る前に公式ホームページから申込みを行い、現地で待ち合わせ時間にエントランス集合です。人数や名前をお問い合わせホームに入力するとメールが返って来ましたのでプリントして持参。住人さんがボランティアで案内をしてくれるとの事で、若干のお礼金を支払う段取りです。

アドレス:Ctra. Reial, 106, 08960 Sant Just Desvern, Barcelona, スペイン
URL: http://www.walden7.com/

設計者はリカルド・ボフィール氏。
バルセロナ出身で1939年生まれ。日本では川崎ラゾーナや原宿のユナイテッドアローズ、銀座の資生堂ビル、が彼の作品です。但し日本の作品はかなり割り切った感じで、基本設計程度しかやっていないように見えます。

まずは外観を見るため建物を一周しました。写真が多くて建築君以外の人はちょっと飽きてしまうかもしれません。すみません。

中央の縦長の開口がメインエントランスです。

裏側には公園があり、卓球台やテニスコートがあります。

コインランドリーが入っていました。

裏側には設計者のリカルド・ボフィール氏の事務所があります。タワーの部分はレストランになっている模様です。

パーキングにクルマが入っていくところを目撃です。

車庫のシャッターが「デ・ステイル」調です!


エントランスを入ると正面の青いシャフトの左右に施錠された両開きのドアがあります。
左の守衛室で予約したWEBのプリントやもらったメールを見せて、案内人を待ちます。

しかし、案内の人が午前と午後を間違えていて、表れませんでした。
結果、守衛さんに中には入れるように案内人さんが電話で段取ってくれて、自由に見て廻れることになりました。
逆にラッキーでした。

ロックのかかったドアの内側です。
室内のようですが、屋根は無いので屋外です。


こちらはエレベーターシャフトのある方向を見た様子です。
赤の扉がエレベーターの扉。

1階には詩的な空間が広がってます。幻想的で自然光が綺麗です。


こちらは集合ポストのある一角。郵便屋さんは守衛さんに入れてもらってここに投函する方式のようです。
ポスト前二は卓球台がありました。


こちらは地下1階のエリアで、乾燥室があったような記憶があります。

エレベーターに乗って上階へあがります。


内部の地図のパネルです。
各戸に自然光がはいるように吹抜と住戸が幾何学的に配置されます。

2階へ上がると人工地盤的な廊下があり、手すり壁の向こう側は1階のエントランスホールレベルを見下ろせます。

見下ろした様子。水盤と噴水の器機が中央に見えますが、水は張ってありませんでした。

見上げの様子。

エレベーターシャフト越しにエントランスの吹抜を垣間見られます。

高層部分の至る所に廊下を膨らませたアルコーブやコーナーがあり、住民のためのちょっとしたテラスになっています。
外観から察するに、各住戸にはバルコニーはありませんから、この共用廊下のコーナーが重要な中間領域になっているようです。


さて、ウオールデン7の上階から見える緑豊かな隣の建物・・・


アップの写真です。
こちらはウオールデン7の設計者であるリカルド・ボッフィル氏の設計事務所の建物「LA FABRICA」です。
コンクリートのシリンダー状の工作物をリノベーションして自身の事務所に改装してつかっています。緑豊かな屋上が特徴。

ちなみに、まさに「天空の城○○」に出てくる浮遊大陸で主人公の2人がグライダーで不時着する場所にそっくり、と思えないでしょうか?
アニメの公開が1986年で、このボフィルの事務所とウォルデン7がGAドキュメントで日本に紹介されたのが1985年です。
もしからしたら、この造形からインスパイアされてアニメの背景画が作られたのかも、と思わずにいられません。


こちらがGAドキュメント


地上に下りて、エントランス廻りを拝見しました。


大きなアーチが入り口で、左の小さなアーチが連なったところの中は応接室のように見えました。
ここから先はプライベートでしょうから、立ち入りもここまでとして、次の建築へ移動です。


ウオールデン7からタクシーに乗って、コロニア・グエル地下聖堂へ移動しました。
グエル公園の施主である E.グエルの紡績工場の労働者住宅団地のために計画された教会で、「地下聖堂」とありますが。実は地上で、人工地盤の下に作られたように見受けられました。

設計はもちろんアントニオ・ガウディ。
アドレス: 927H+H4 La Colònia Güell, スペイン
入場チケット売り場が建物から100mほど離れた町中にあります。


境界のエントランス前のポーチ部分です。半層下がって境界があり、境界の天井上が人工地盤になっています。


教会の中の様子。


家具のデザインもガウディらしい!


屋上の人工地盤上です。
本当はこの上に教会が建ち上がるはずだったとの事ですが、サグラダ・ファミリア教会の設計依頼に専念するため、この計画を弟子に任せたとの事。


駅に向かって歩いていると、工場がありました。
これがグエルさんの工場か???


コロニア・グエル駅からバルセロナへ向かいました。


この日の移動地図です。ウオールデン7からタクシーでグエル地下教会へ移動し、鉄道でエスパーニャ広場(スペイン広場)へ移動しました。


地下の駅から地上へ出るとスペイン広場ごしにArenasショッピングモールが見えます。


元闘牛場で、リノベーションの設計をリチャード・ロジャースが行っています。内部は超近代的で見所満載なのですが、この時はノーマークの上時間も無くてスルーしております。
目指すはバルセロナパビリオンです。


建築君の聖地のひとつ、バルセロナパビリオンです。設計は言わずと知れたミース・ファン・デル・ローエ。
1929年のバルセロナ万博でドイツ館として建築され、会期終了後に取り壊されましたが、復元され「ミース・ファン・デル・ローエ記念館」となっています。
大学に入って設計製図の授業の初期の頃に初めて知った建物ですが、構成のシンプルさには今でも参考になる作品です。

日本人学生と思われる建築君達が見学していました。

水盤の右を進み突き当たりを右に曲がるとお土産などを売っている売店があります。


左が売店入り口です。
水盤の裏側は緑地となっています。


売店内に飾られているスチール柱のカット部材です。 完成時のオリジナルの柱なのかもしれません。


大理石貼りの壁の端部ですが、石の柄が側面と断面とつながっているのを見ると、端部だけ無垢の塊をつかっているようです。


両開きのドアの先の彫刻のある水盤へすすみます。ドアはありますが、バルセロナパビリオンに仕切られた個室は無く、すべて外と気積がつながっています。


水盤まえから見返し


ガラスごしに見える黒いセブンチェアは入場券を売っている女性が座っているものです。
日本ならキップ売り場のカウンターをどこかに作りそうですが、ここでは椅子だけ置いて、女性が1人座っているというシンプルなものです。


バルセロナパビリオンからモンジェイックの丘を登り、1992年に行われたバルセロナオリンピックの会場を見に移動しました。フェンスがありますが、開門していて自由に入れました。シンボルタワーはサンティアゴ・カラトラヴァ設計。1992年といえば90年に大学を卒業して設計事務所へ就職したはいいものの、バブル崩壊のため担当している設計計画がどれも中止になり・・・といった頃でした。テレビ中継で映し出されるオリンピック競技施設が輝いて見えました。いつか見に行きたいと思っておりましたが、25年後に見に来られました。

タワーの足元です。オリンピック当時のメディアで見るのはタワーの上方の造形が多かったです、そのため、足元のディテールはよく見るのは初めて。貝のような造形の上にタワーが建っていました。

貝のように見える基壇の廻りは水盤になっているようで(水は張ってありませんでした)白のタイルが貼られて、ガウディのグエル公園の引用かもしれません。

遠くに磯崎新氏設計の室内競技場パラウ・サン・ジェルディが見えました。

バルセロナオリンピックの会場を後にして、おなじみの観光地であるグエル公園へ向かいました。地下鉄のLesseps駅から歩いて向かいました。写真が正面です。

有名な大階段です。

お約束のカメレオンの彫刻です。

さて、グエル公園はグエルさんがここに住宅地を分譲する計画を立て、そのための広場を作ったのが、このグエル公園との事。モザイク貼りの彫刻だけが有名ですが、建築的見所は「人工地盤」だという事です。写真のように広場は斜面地に柱を立てて張り出しています。

こんな感じで人工地盤の下へ進みカメレオンのある大階段へつながっています。

地盤を支える列柱です。建築君にはこここそが見所です。

軒天井面もモザイクタイル貼りで、球状の形で力を逃がしているのがわかります。

上部の広場からの景色です。
サグラダファミリア教会と海沿いにある超高層ビルの対比が美しい夕暮れ時でした。このあと、近くで夕食を取ってホテルへ帰りました。

つづく

株式会社石川淳建築設計事務所 東京都中野区江原町2-31-13第1喜光マンション TEL 03-3950-0351